日本酒の「火入れ」とは?生酒との違いや保存方法について詳しく解説

生酒

日本酒には、「火入れ」という作業があります。

簡単にいえば、「加熱処理」のことです。
しかしながら、その方法にはさまざまな特徴があります。
また火入れをしない「生」酒には、3種類の特徴あるお酒があるのです。

この記事では、日本酒の火入れについて、生酒の種類とその特徴について説明します。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

日本酒の「火入れ」とは何か

火入れとは、日本酒の製造工程上で行われる作業です。
醪を発酵させたのちに搾った原酒を、ろ過後に1回、出荷前に1回の計2回加熱する作業を火入れと呼んでいます。
2回の火入れを実施しない日本酒は、「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒(ひやおろし、秋あがり)」と呼ばれて区別されています。

火入れはなぜ必要か

火入れには、2つの目的があります。

1 酵母や酵素を失活させる

ろ過した日本酒には、糖化酵素やたんぱく質分解酵素、酵母がわずかながら残っています。
日本酒の貯蔵時や出荷後にそれらが活性化すると、酒質が大きく変化する恐れがあります。
それを防ぐために日本酒を加熱して、酵素や酵母を失活(活動しなくなる)させるのが目的です。

2 雑菌の繁殖を防ぐ

日本酒には酵母や酵素の他に、「火落ち菌」という乳酸菌も存在します。
火落ち菌が繁殖すると、商品として出荷できなくなるほどに日本酒を劣化させてしまいます。
また火落ち菌はアルコールに強く、日本酒程度のアルコール度数では殺菌できません。
火落ち菌は熱によって殺菌できるので、火入れによって死滅させるというのがもう一つの目的となります。

火入れの方法

火入れはいわゆる「低温殺菌法(パストリゼーション)」を使って実施されます。

62度から65度程度の温度で約30分加熱し、酵素を失活、菌類を死滅させます。
ここであまり温度を上げ過ぎてしまうと、アルコールの沸点は78.3度なので気化してしまい、お酒として商品になりません。
アルコールが蒸発しない程度の温度でゆっくり加熱することで、日本酒の品質を安定させているのです。

ちなみに、パストゥールが低温殺菌法を発見したのは1866年です。
日本酒の製造では、その何百年も前の江戸時代からこの方法が確立していました。
日本酒造りの経験からこの方法が編み出されたというのは、驚くべき事実ですね。

火入れには、何種類かの方法があります。

  • 湯につけたらせん状の管に日本酒を通して加熱する(蛇管式と呼ばれる)
  • 瓶に詰めた日本酒を湯につけて加熱する(瓶燗と呼ばれる)
  • ブレードヒーターと熱交換器を使って加熱する
  • 「パストライザー」という機械を使用する

火入れの方法については伝統的なものから近代的なものまで、メーカーによってさまざまな方法が取られています。

保存方法やラベルの見かた

火入れした日本酒は、基本的に常温保存が可能となります。
ただし直射日光や高温になる場所は、劣化につながるので厳禁です。
日本酒には賞味期限はありませんので、ラベルなどに記載されていません。
保管状態がよければ、1年以上の保存は可能です。
開封後は劣化が進みますので、できるだけ早めに飲み切ってしまいましょう。

火入れしていない「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」は、冷蔵保存が基本です。
ラベルに保存方法や飲み方の記載が明記されていますので、その記載に従って保存しましょう。
火入れしていない日本酒には、「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め(ひやおろし)」など、ラベルに記載されているものが多くなっています。
その記載を見れば、火入れされた日本酒かどうかの判断ができます。
火入れしていない日本酒は、フレッシュさを味わうものが大半です。
賞味期限の記載はないですが、目安としては製造より半年、開封後は1週間程度で飲み切ってしまいましょう。

3種類の「生」酒

火入れしていない日本酒を、ひとまとめに「生酒」と呼ぶケースが多いのではないかと思います。
しかしながら、火入れの有無やタイミングで3種類に分けられます。

生酒

まったく火入れをせず、搾ったものをそのまま商品としているものを「生酒」と呼びます。
荒々しいけれどフレッシュでフルーティな味わいが特徴です。
菌や酵母がそのまま入っていますので、冷蔵保存が必須となります。
酒質が変わってしまう可能性も考えられますので、できるだけ早く飲みきってしまうのがおすすめです。

生貯蔵酒

火入れをせずに生のまま貯蔵し、出荷前に火入れを1回実施した日本酒が「生貯蔵酒」と呼ばれます。
火入れをせずに貯蔵していますので、フレッシュ感のある味わいとなっています。
出荷前に火入れして殺菌しているので保存はききますが、冷蔵で保存するのが望ましいです。

生詰め酒

貯蔵前に1回火入れをして熟成させ、そのまま火入れせずに出荷される日本酒が「生詰め酒」です。
春から夏にかけて貯蔵し、秋口の気温が下がったころに冷やのまま(火入れしないで)出荷されるので、「ひやおろし」「秋あがり」と呼ばれることもあります。
火入れして貯蔵しているので、まろやかで角の取れた柔らかい味わいが特徴です。
生詰め酒も酒質は比較的安定していますが、出荷前に火入れしていないので冷蔵保存するのがよいでしょう。

火入れ酒と生酒の違いを楽しみましょう

ここまで、日本酒の火入れについて説明しました。

火入れした日本酒は酒質が安定して落ち着いた味わい、「生」の日本酒は3種類ともフレッシュな味わいが楽しめます。

それぞれを飲み比べてどのように違うのかという楽しみ方をするのも、また面白いものですよ。

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