日本酒を飲むときに使う器などを酒器と呼びます。
何気なく使っている人も多いかもしれませんが、実は酒器によって日本酒の香りや味の感じ方は大きく変わるとされています。
今回は、日本酒をもっと美味しく味わうために、酒器による味の変化や種類、選び方をご紹介します。
知っておきたい酒器の種類
【日本酒好きな人に聞きたい】
— ヒライユウキ|日詰平井邸 (@HIRA6kiku) June 8, 2022
いつも自宅でお酒を飲む時、特にお気に入りな酒器ってありますか⁇もしこだわりがあれば、材質、形状、ヘビロテしちゃう理由をぜひお聞きしたいです。
ちなみにぼくはクラファンでコラボした時に作ってもらった白い漆の平盃が結局何するにもちょうど良くて好き。 pic.twitter.com/GosMxd9XtY
一口に酒器と言っても、実は多くの種類があります。
まずは実際に日本酒を飲むための物と、日本酒を注ぐ器に分けられ、形状や素材によっても更に細かく分けられます。
実際に、どんなものがあるか紹介していきます!
お猪口(おちょこ)
お猪口は、酒器の中でも非常にポピュラーな物の1つです。
日本酒をあまり飲んだことがなくても、お猪口の名前は知っているという人も多いのではないでしょうか。
お猪口が特徴的なのは、容量が非常に少なく、ほぼ1口分ほどしか注げないという点です。
そのため、器に注いだ日本酒が外気による温度変化の影響などを受けずらくなるというメリットも持っています。
ぐい呑み
ぐい呑みは、元々会席料理で、膳の中央より向こう側につける刺身や酢の物などの料理を盛る器として用いられていた器です。
料理を食べ終わり、空になった器にお酒を入れて飲み始めたのが、酒器としての成り立ちであると言われています。
お猪口より1周りほど大きく、ぐいぐいと飲み進めることができる酒器であり、その飲み方が語源になっています。
口径の広さから、日本酒の香りを堪能したいという人におすすめです。
盃(さかずき)
盃は、底が浅いお皿のような形をした酒器です。
日常的に日本酒を飲むのに用いる場合もありますが、お祝い事の際やお正月にお屠蘇を飲むのに用いられます。
盃自体は非常に歴史のある酒器であり、神酒を大盃(大杯)で回し飲む直会(なおらい)が日本の文化として定着、神の嘗めた酒を共に飲む事が日本の宴会のルーツとなったとも言われています。
枡(ます)
枡は、元来物の体積を測るためのものでしたが、お酒を飲むために用いられるようになり、これは酒枡と呼ばれます。
木製で四角い形状をしており、現代では直接お酒を注ぎ入れて飲む方法と枡の中にグラスを入れて飲む方法が一般的です。
徳利(とっくり)
徳利は日本酒を瓶から移し替えるために用いられる注器です。
ほとんどの場合でお猪口やぐい呑みとセットになっており、丸みを帯びたひょうたんのような形をしているのが特徴です。
銚子
そういえば先日、幕末期のお銚子と200年前のお盃で日本酒いただいてきたんですよ……う、う、うま……(ガクガクガク) pic.twitter.com/4SI5SxJwWk
— 蛙田アメコ🐸コミカライズ3作品連続刊行✨ (@amecokaeruda) February 12, 2020
徳利としばしば混同されるのが、この銚子です。
本物のお銚子は長い柄が付いた金属や木製、もしくは陶製の器で、注ぎ口が1つの片口と呼ばれるタイプと、両側2箇所に注ぎ口がある「両口」と呼ばれるタイプの2種類が存在してます。
桃山時代には蓋付きのものが出現し、ちょうど現代の急須のような形状になったとされています。
ちろり
ちょっとおよばれ☺️
— aya.2112 (@hidechan817) June 12, 2022
お刺身が出てきたので日本酒頼んだらちろりで出てきて心の中でテンション上がる私🤭
これ持って帰りたい😂 pic.twitter.com/iayOvT7kJJ
ちろりは、日本酒を温める=燗を付ける場合に用いられる酒器です。
熱伝導率を考慮して、ちろりは多くの場合で錫や真鍮といった金属製であり、中国大陸より伝えられたとされています。
名前の由来は諸説ありますが、囲炉裏で温めていたことから「地炉裏」と呼ばれるようになり、転じて「ちろり」という名前になったとも言われています。
日本酒の味わいは酒器によって変化する
これがやりたくて酒器も集めてるよ〜 pic.twitter.com/yPKXvw04Mq
— ひいらぎ (@tierra_hrg) June 8, 2022
例えば、ワイングラスが1種類ではないように、酒器にもさまざまな大きさ・形が存在しています。
日本酒は、特に銘柄や温度によって味わいや香りが変わるお酒。そのため、酒器の選び方は日本酒を味わうにあたり、こだわりたいポイントの1つです。
酒器を容量で選ぶ
日本酒の味わいは酒器によって変化します。
まずは、容量に気を付けましょう。冷やした日本酒はそのままにしておくと温くなってしまい、キレの良さを味わうことができなくなってしまいます。
そのため、冷やした日本酒を飲む場合は冷たい間に飲み切れるよう容量が少ない酒器を選ぶのがおすすめです。
燗を付けた日本酒も同じ理由で、小さめの酒器を選ぶと良いでしょう。
逆に、温度変化による味の移ろいを感じたいのであれば、大きな酒器でも問題ありません。
酒器の口の広さで選ぶ
次は酒器の口の広さです。口の広さは、日本酒の香りの感じ方を変える要因の1つです。口が広ければ広いほど、日本酒の香りは多く立ち上り、ふわりと広がる香りの良さを楽しむことができます。
逆に口が狭い酒器であれば立ち上る香りは少なくなり、実際に口を付けて飲む瞬間にすっきりとした香りを直接堪能することができるのです。
酒器の形で選ぶ
選び方の最後は酒器の形です。
酒器には、実にさまざまな形のものが存在しています。見た目はもちろんですが、形は日本酒の味わいを変えてくれるのです。
壺のような形の酒器は豊潤な日本酒の旨味を強く感じさせてくれ、口がラッパのようになった縦長の酒器は香りの広がりが良く、爽やかさも同時に引き立ててくれます。
フルーティな純米吟醸には口の広い小ぶりな酒器を選び、米の味をふくよかに感じられる純米酒には丸みを帯びた酒器を……など、飲む日本酒に合わせた形の選び方が出来れば楽しみ方にも幅を出すことができるでしょう。
さまざまな素材で作られている酒器
ちょっと奮発💸
— お酒のてんじろう🍶@てんじろう酒販 (@tenjiro_1026) June 10, 2022
錫(すず)の酒器を購入しました✨
冷酒の楽しみ方が増えそうです🙌#錫 #日本酒 #日本酒好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/XhKGl4fz37
酒器は素材によっても、日本酒が持つ味の感じ方を変えてくれます。
素材が違うだけで、手触りや温度すら変わるのです。シーンに合わせて酒器の素材を選ぶことで、より日本酒を美味しく味わうことができます。
ガラス製の酒器
ガラス製の酒器は、見た目の涼やかさが特徴的な酒器です。
一般的な透明のガラスだけではなく、現在ではグラデーション掛かったものや、びいどろ、伝統工芸である切子など、見ているだけでも美しいさまざまなガラス製の酒器が造られています。
また、飲み口の厚みによって日本酒の味わいが変わるのが特徴であり、飲み口が薄いものはキレのある日本酒、厚みがあるものは濃厚な日本酒と相性が良いとされています。
陶製や磁器の酒器
陶製の酒器は、日本酒の味わいを柔らかくしてくれると言われています。
厚みもあるため、燗を付けるのにも適しており、芳醇な日本酒をまったり飲むのに向いています。
一方で磁器製のものは焼きを入れて半ガラス質になっているため、陶製のものとは異なるすっきりとした飲み口を感じることができます。
熱を伝えやすいため、陶製のものよりも燗を付けたときに温かさが直接伝わるのも特徴の1つです。
錫の酒器
錫は非常に安定した金属として知られています。
そのため、錫で出来た酒器は錆びにくく、色の変化も少ないため長い期間に渡って使うことができ、プレゼントとしてもおすすめです。
日本酒の雑味を取ってまろやかにするとして、日本酒に通じた人ほど好む傾向にあるようです。
こだわりの日本酒には、こだわりの酒器を
良い酒器で飲む良い酒は美味い☺️ pic.twitter.com/DXlt8shlwz
— 酒畜ハレム (@harem1031) June 9, 2022
日本酒はとても繊細なお酒です。
普段使いしているようなグラスで飲んでも問題はありませんが、どうせなら使う酒器もこだわりたいものです。
酒器を変えることで、いつもの日本酒のまた違った味わいを発見できるかもしれません。